ビットコインに代表される仮想通貨の世間への認知度の拡大が続いています。それに伴って実際に仮想通貨を保有して、資産を増やそうと考える人も増えてきています。
一方で、仮想通貨で資産を増やそうと考えた時に障害となるのは、キャピタルゲイン(売買差益)でしか利益を上げることができないということです。
より効率的に仮想通貨を用いて利益を上げようとする時に考えられる一つの方法は、貸仮想通貨による収益の向上です。
ここでは 日本で最大の仮想通貨取引所であるコインチェックの貸仮想通貨サービスについてご紹介し、このサービスを利用した収益の向上は可能なのか実体験をもとに考えてみます。
目次
貸仮想通貨とは?
貸仮想通貨とは、ユーザーである私達がコインチェックなどの取引所に一定の金利で一定の期間仮想通貨を貸すことによって、金利収入を得るというものです。
簡単に言うと、銀行の定期預金のようなものです。
銀行では定期預金としてお金を預けると、通常の口座の預金よりも少し良い金利で預かってくれます。そして決まった期間の間は定期預金から現金を引き出すことはできません。この点でまさしく銀行の定期預金と似ていると言えます。
決定的に違うのは、その金利です。
銀行の定期預金では、最も利率が良い条件のものでも年率で 0.02%にとどまっています。
一方で、コインチェックに仮想通貨を貸した場合では条件にもよりますが最大で年率5%と、銀行の25倍の金利がついています。
これだけでも年率の良さというものはお分かり頂けるかと思います。
貸仮想通貨のメリット・デメリット
貸仮想通貨は、単純に年率だけ見ると非常に有効なサービスに見えます。しかしはたして良い面だけ見て、そのサービスを利用する判断をしてもよいのでしょうか。
ここではこのサービス自体のメリット・デメリットをまとめて、このサービスを始めてもよいものか確認したいと思います。
貸仮想通貨サービスのメリット
仮想通貨でインカムゲインを得ることができる
仮想通貨取引による利得は、現在のところその仮想通貨の価格が上がったか下がったかでしか得ることができません。
すなわち、仮想通貨を現物でも信用でも良いのですが、価格が上がるか下がるか予想し、それをもとに取引所で売買することによって利益を上げることができません。
これは一般的な投資用語で、キャピタルゲインと呼ばれています。
キャピタルゲインは、投資対象の価格の上がり下がりに利益が依存しますので、元々多くの投資資金を持っていないと、効率的な投資ができるとは言えません。
一方で、投資対象を保持していることによって得られるインカムゲインは、価格自体には影響を受けず、決められた金利の分だけ収益を上げることができます。
仮想通貨の相場を気にしなくてよくなる
前項でもご説明したように、インカムゲイン自体は仮想通貨の価格の影響を受けません。貸し出した期間が終われば決められた金利の分だけ収益を上げることができます。
キャピタルゲインを狙う投資家のように、四六時中相場に張り付き価格の上がり下がりに一喜一憂する必要がなくなります。
つまり、貸仮想通貨サービス自体は、短期で売買を繰り返す人に向いているというよりは、どちらかと言うと長期保有を前提とする人に向いているかもしれません。
日本円に変換しないので、課税対象にはならない
仮想通貨による利益は、税法上は雑所得に当たるので1月から12月まで通算して利益がある場合は、確定申告をする必要があります。
しかし、利益としてカウントされるのは日本円に仮想通貨を交換した時です。この貸仮想通貨サービスでは、インカムゲインとして付与されるのは貸した仮想通貨です。
つまり、このサービスを利用してられた所得に関しては、日本円に変換しない限り課税対象にはなりません。これは貸仮想通貨ならではの収益の上げ方であると言えます。
貸仮想通貨サービスのデメリット
貸出期間中はどんなに相場が動いても売却できない
貸仮想通貨サービスの最大のデメリットは、貸出期間中は当該仮想通貨を自らのコントロールに置くことができないことです。
要するに、何らかの要因で仮想通貨の価格が大幅に下落した時に、損切りとして保有していたポジションを解消することができないということです。
仮想通貨の相場は、最大手のビットコインでさえもボラティリティ(価格上昇幅)が非常に大きく、現在ではいつバブルが弾けてもおかしくないと言われています。
自分の保有する仮想通貨のコントロールを失うというのは、非常にリスキーであるといえます。
取引所が倒産した場合に返ってこない
coinchekの利用規約にも書いてありますが、取引所が倒産した場合には貸していた仮想通貨は返ってきません。
coincheckのような大手の取引所でなかなか想像がつきにくいかもしれませんが、仮想通貨に関連する企業はどこも創設後間もないベンチャー企業ばかりです。
いかに金融庁で登録された業者といえど、破綻のリスクを抱えていないと入れません。
貸仮想通貨サービスを利用する時には、以上のようなメリット・デメリットを考慮に入れる必要があります。
貸仮想通貨に向いてる人・向いていない人
ここでは、どんな人に貸仮想通貨サービスをおすすめするか、おすすめしないかを説明します。
貸仮想通貨サービスに向いている人
仮想通貨の投資を長期で行いたい人
貸仮想通貨サービスでは指定した期間自ら仮想通貨を移動させたり売却させたりすることができません。
仮想通貨を長期保有することで資産形成を目指す人にとっては、ただ保有しているよりは少しでもインカムゲインが入った方がより高い収益性を目指せます。
投資対象通貨が将来的に上昇すると見込んでいる人
仮想通貨を長期で保有するということは将来的には価格が上昇していないと収益が見込めません。
投資を考えた時にご自身の保有している通貨が上がると見込んでいる人にとっても、貸仮想通貨サービスは適していると言えるでしょう。
貸仮想通貨サービスに向いていない人
仮想通貨の投資を短期で行いたい人
仮想通貨の取引により収益を上げる方法として、一般的な方法は短期間で売買を重ねることです。
デイトレーダーのように、安い時に大量に仕込んで高い時に売るという投資の原則を数多く積み重ねることで収益を上げることも仮想通貨では可能です。
しかし、貸仮想通貨サービスでは、一定期間保有する仮想通貨のコントロールを失うことになります。売りたい時に見ることができず、 売買のチャンスを逃す可能性が高くなります。
投資方針が短期売買の人にとっては、貸仮想通貨サービスは向いていません。
仮想通貨の相場に一喜一憂する人
仮想通貨の相場は上がり下がりが激しく、一日で莫大が損益も収益もあげられる可能性があります。
その中で自らのリスクへの許容度が低い人にとっては、相場が下がった時にすぐに売れないというのは精神的にきついです。
自らの思うように仮想通貨を売買できないこのサービスをおすすめできるとは言えません。
実際に貸仮想通貨サービスをやってみた
ここからは私自身が自ら貸仮想通貨サービスに挑戦してみた記録についてご説明します。
サービスの始め方
coincheckに口座を開設する
まず、コインチェックで口座開設します。
どの取引所にでもそうですが、口座の開設には時間がかかります。仮想通貨投資をするなら、同じタイミングでいくつかの取引所に口座を開設するのが良いでしょう。
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coincheckに入金する
coincheckには、クレジットカード・銀行振込・コンビニでの入金などで口座に入金をすることができます。
貸仮想通貨用の口座に資金を移動する
通常coincheckに入金すると入金すると、通常の取引の口座に入金されます。
ここから貸仮想通貨用の口座へ資金を移動します。
ちなみに貸仮想通貨で行うことができる最低額は、日本円の価値で10万円以上からですので、10万円以上の資金を移動しましょう。
貸出金利と期間の組み合わせを選ぶ
貸仮想通貨サービスの貸出金利と貸出期間の組み合わせは、以下のようになっています。
貸出期間 | 年利 |
---|---|
14日間 | 1% |
30日間 | 2% |
90日間 | 3% |
365日間 | 5% |
いきなり多額の資金と長期の期間で貸し出しをしてしまうと、不測の事態があった時に対応ができません。
常に相場が気になってしまうので、お試しとして30日間で10万XRP(リップル)貸し出してみることにしました。
貸出申請から実際の貸し出しまでには意外と時間がかかる
取引をしている時にもあまり感じませんが、貸仮想通貨サービスの申請が受理されるには非常に時間がかかります。
私の場合では申請を出してから一週間経ってやっと全額の仮想通貨が貸し出されました。
一週間もの間送金もできず、かといって貸し出しが実施されているわけではないので、非常に無駄な期間だと感じました。
今後このサービスが一般的になるにつれて、この点は改善されることを期待しています。
貸仮想通貨サービスの結果
貸仮想通貨サービスを利用している間の一か月間は、長くも短くもありました。
自分で保有しているXRPが日に日にその価格を上げているのを見ていたので、貸し出しているXRPもまた同様に上昇していると確信できていました。
しかも、貸出金利までついて返ってくるので、非常に楽しみに待ちました。
そして貸出期間終了後、XRPは160 XRP増えました。
これは、10万XR×2%×30日/365日≒164XRP とシミュレーション通りでした。
幸いにも私が貸し出ししている間にXRPの値下がりはありませんでした。通貨自体の値上がりと利息の収入と言う二通りの収益が上がり、非常に嬉しかったです。
まとめ
貸仮想通貨サービスは、現在のように上り調子の仮想通貨が多い局面においては、収益性を増大させるのに非常に有効な手段であるといいます。
また、投資戦略として長期保有を目指される投資家にとっては、ただ保有しているだけでなくさらに金利までつくのは非常に効率が良いと言えます。
一方で、短期で売買を繰り返したり送金を行ったりする人にとっては動かせないお金があることになるので注意が必要です。くれぐれも投資は自己責任でお願いします。