近年ビットコインなどの仮想通貨が、投資対象商品として人気が出てきました。
仮想通貨投資で資産が何十倍にもなったという人もいる反面、仮想通貨投資はギャンブルだという人もいます。
仮想通貨が自分に向いた投資方法なのかを知りたい人のために、仮想通貨投資の仕組みからメリットやデメリット、そして成功のためのポイントを見ていきます。
目次
仮想通貨投資とは
仮想通貨投資をシンプルに表現すると、「値段が上がりしそうな仮想通貨を買い、買った価格よりも値上がりしたら売って利益を得る」という単純かつ明快な投資方法です。
取引の方法は株式投資に比較的似ていると言われます。他にもFXで円・ドルをペアで売買するように、仮想通貨でも通貨同士をペアにして取引する方法や、先物のように取引することもあります。
大きく分けると、短時間・短期間で売買を繰り返して利益を得る方法と、特定の仮想通貨の長期的な将来性を見込んで長く保有しておく方法の2通りがあります。
2017年11月時点で約1, 200種類もの仮想通貨が、世界中で取引されています。
仮想通貨投資の仕組み
最も一般的な仮想通貨投資の手順は次のような手順で行います。
- ネット等で情報を調べ、投資したい仮想通貨を決める。
- 1.で決めた仮想通貨を売買できる取引所に口座を開く。
- 取引所の自分の口座当てに、円など購入資金を銀行口座等から送金する。
- 購入して保有する。
- 購入価格より値上がりしたら、売りたいタイミングで売って「利益を確定」する。
仮想通貨の入手方法はそれ以外にもマイニング、ATM(現在ビットコインのみ)、キャンペーンなどで無料で入手するなどがありますが、個人が投資する場合は取引所で購入する方法が、一番お勧めの方法です。
取引所経由で投資する3種類の方法
取引所から仮想通貨を購入する方法は3種類あります。
どれも上記の手順3.までは一緒ですが、投資自体が初めての人にお勧めなのは「販売所」スタイルと「積立」スタイル、少し慣れてきたら「取引所」スタイルでの購入がお勧めです。
それぞれの違いを見てみましょう。
「販売所」スタイル
取引所があらかじめ設定した「提示価格」で、取引所と直に売り買いする方法です。
提示価格は通常手数料を上乗せして設定されており、取引所によって異なりますが、平均数百円程度「取引所」スタイルより多少割高になることがほとんどです。
販売所と売買する利点は、あらかじめ決まった価格で取引所と直接売買するので、焦らず取引できる事、そして必ず売買が成立する事です。
「積立」スタイル
事前に購入通貨・積立金額と銀行口座を指定すると、毎月決まった日に取引所が購入資金を引き落とし、指定の通貨を購入して取引所に積み立てしてくれます。
買い時がよく分からなくても、毎月購入されるので購入金額が平均化されます。また、意識せずに貯まっていく事も大きなメリットです。手数料は積立設定金額によって異なります。
とても優秀なシステムですが、2017年11月時点で、「積立」スタイルの購入ができるのはZaif(ザイフ)取引所のみとなっています。
「取引所」スタイル
取引所が提供する場で、売りたい人と買いたい人同士が直接売買を行う方法です。
この方法では「板(売り板・買い板とも言います)」という、どの値段でどの位の数量が売り買いに出されているか、リアルタイムで表示する画面を見ながら取引を行うのが通常です。
取引全体の様子を見ながら、希望価格を指定して「指値」注文が出せるので便利です。
ですが慣れないとリアルタイムの板の動きに惑わされて、注文を出すのが難しいかもしれません。少し慣れてきた人や、株やFXなどの経験がある人には人気の方法です。
「取引所」スタイルの取引手数料は、各取引所ごとに異なります。無料やマイナス設定の取引所(売買するたびに一部キャッシュバックがある)、またMaker(メーカー)手数料とTaker(テーカー)手数料に分けている取引所もあります。
Maker手数料というのは、チャンスを作り出す=Makeして取引が成立した場合の手数料です。板に出ていない値段で注文を出し、誰かがその注文と売買を成立させるため新たな注文を出し、その取引が成立した場合に発生します。
Taker手数料というのは、すでに売買板に出ている注文を取って=Takeして、売買を成立させた際にかかる手数料です。
仮想通貨投資のメリットとデメリット
仮想通貨投資は取引方法だけを見ると、株やFXなどとそれほど変わりません。
ですが金融商品として見ていくと、仮想通貨ならではの投資メリットとデメリットがあります。それらを知った上で投資を行うことが大切です。
メリット
小額からの投資が可能
通貨によっては数十円単位からの投資も行えます。
例えば、日本で第3位の取引高があるリップルは1リップル約23円で売買されており、もちろん1リップルから投資できます。
日本だけでなく世界でも一番多く取引されているビットコインは、2017年11月時点で1ビットコイン約80万円です。
しかし、1ビットコイン以下でも取引ができるため、取引所によっては0.0001ビットコイン、約80円から購入が可能です。
手数料が安い
仮想通貨投資は少額から可能なだけではなく、取引手数料も安く設定されています。
特に日本円でビットコインなどのメジャーな通貨を買う際は、取引手数料が無料の取引所も多くあります。
価格変動率が高い
仮想通貨は価格の上下に制限が設定されていません。
ですからボラティリティと呼ばれる価格変動率が非常に高くなっています。短期間で大きな収益を得られる可能性もあるわけです。
市場の自由度が高い
仮想通貨は市場の自由度が非常に高くなっています。
その大きな理由としてまず、仮想通貨は法定通貨ではないという点です。
円など政府によって発行された法定通貨の取引には、価格や流通量に対して日銀などから様々な規制が入りますが、仮想通貨にはそれはありません。
通貨として利用できる
ビットコインやイーサリアムは、様々な支払いに利用できるようになってきました。
通貨としての利用価値は今後ますます増えるとされていて、その利用価値が仮想通貨の金融商品としての投資価値もさらに上げていくと考えられています。
世界情勢の影響を受けにくい
仮想通貨はインターネット上で流通する、特定の国に依存しない通貨です。
ですから傾向として、例えば国の発行する通貨への信頼感が下がった時に多く買われ、価値が上昇する傾向にあります。
早期投資で大きなリターンを得られる可能性がある
発行されたばかりのまだ名も知れない通貨の中には、将来世界経済の発展に貢献するような通貨があるかも知れません。そのような通貨に早期投資できれば、将来的に大きな利益を得られる可能性もあります。
デメリット
仮想通貨投資のデメリットには、次のような点が挙げられます。基本的にどんな投資でも、メリットはそのままデメリットにもなる可能性もある、という事を覚えておきましょう。
通貨自体が詐欺の可能性がある
仮想通貨はノウハウがあれば基本的には誰もが発行することができ、今後ますます種類が増えていくことが予想されます。中には通貨自体が詐欺だったり、悪用目的で発行されている可能性もあります。
選ぶ際の情報が少ない
約1,200種類もある仮想通貨の中から、良い投資対象となる通貨を選ぶのは大変な作業です。
株投資のように選ぶ際に参考とできる指標がないので、選ぶ際には口コミ、世評やホワイト―ペーパーが情報源となります。
ホワイトペーパーというのは、仮想通貨が発行される際にその発行目的や技術の詳細などを、購入を考える投資家のためにまとめた仕様書のようなものです。
補償が少ない
仮想通貨は法定通貨ではないのでペイオフの対象にはなりません。ペイオフとは預金保険法に基づいて、万が一銀行等の金融機関が倒産した際などに円預金など法定通貨による金融資産を1,000万円まで国が補償してくれる制度です。
もし取引所が破綻したりハッキング等の被害にあって、預けている仮想通貨が盗難された場合も、取引所によって補償への対応は様々です。
新しいのでどうなるかわからない
まだ新しい金融商品の仮想通貨は、様々な面での法規制が準備段階です。今後の展望を読みづらい面があるため、注意する必要があります。
価格変動率が高い
価格が大きく上下する可能性は、メリットにもデメリットにもなります。短期間で大きな損失が出る可能性もあります。
ハッキングの被害が後を絶たない
仮想通貨はインターネット上で取引されている通貨なため、狙われるのもほとんどがインターネット上です。最近は取引所での管理も徹底されてきましたが、ハッカーに狙われるケースが後を絶ちません。
取引所だけでなく個人が自宅のPCなどに保管している仮想通貨もハッキングされて盗まれることが多くなっているため、管理には充分な注意が必要です。
仮想通貨投資はギャンブルにもなり得る
仮想通貨投資はギャンブルだという人も多くいますが、実際はどうなのでしょう。ここでまず知っておきたいのは、投資・投機・ギャンブルの違いです。
投資とは、自分が持つ余剰資金を使って金融商品の取引を行うことです。投資結果には自分の判断が大きく影響します。
投機とは、余剰資金以上のリスクを取って投資を行うことです。投資と同様に自己判断で行うので、自分の意思が投機結果に大きく影響します。
ギャンブルは投機と似ている部分が大きいのですが、違いの1つは手数料です。ギャンブルは運営元に支払う手数料の率が非常に高く、25%から多い時は70%近くを手数料として支払います。また、投資や投機は自分の投資判断で損益が決まる場合が殆どですが、ギャンブルの場合は、自分の判断よりも「他者によってコントロールされた何か」が損益に影響する場合が殆どです。
ですから特定の金融商品に対する投資がギャンブルだと言うのは間違いで、やり方次第で投資、投機にもギャンブルにもなり得るというのが事実です。
例えば仮想通貨投資で見てみましょう。
10万円の自己資金で、自分で調べて購入を決めた仮想通貨を10万円分購入するのは投資です。
10万円の自己資金で、10倍のレバレッジ利用して取引所から資金を借りる形で100万円分の取引をするのは投機になります。
10万円の自己資金を、根拠がないのに数カ月で数十倍に値上がりすると持ち掛けられた仮想通貨に投資したり、セレブが推奨する仮想通貨を下調べせず購入するのに使ったりするのは、ギャンブルに当たります。
仮想通貨も取引の方法次第で、投資・投機・ギャンブルのどれにもなり得るという事です。
仮想通貨投資で成功するためにやるべき7つのこと
誰もが投資は成功させたいものです。仮想通貨投資で成功するために出来ることを見てみましょう。
1. 使える資金を決める
どんな投資も余剰資金で行うことが大切です。仮想通貨にいくら投資できるのかを、しっかり考えましょう。余剰資金は自己資金が基本です。借りた資金での投資は理想的ではありません。
2. とれるリスクを考える
投資は資金が増える可能性も減る可能性もあります。自分がどの程度のリスクを取れるのかをしっかり考えて投資しましょう。
リスク管理という意味では分散投資も大切です。いろいろな分散方法がありますが、例えば、同じ仮想通貨にすべての資金を使わず数種類の通貨を買う、仮想通貨だけに全資金を投資せず他の金融商品にも投資する、などです。
3. 安全な通貨を選ぶ
比較的安全な通貨を選びましょう。安全な通貨の基準は、例えば、取引量が多い、テクノロジー背景がしっかりしている、社会的に信頼ある企業が関わっている、などです。
仮想通貨投資の初心者にお勧めの安全性が高い通貨は、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、リップル、リスク、ライトコインやネムなどです。どのコインも日本での取引量も多く、多くの取引所で購入することが可能です。
4. 安全な取引所を選ぶ
仮想通貨投資は仮想通貨専用の取引所で行います。万が一通貨を失った時の補償がまだあまり充実していない仮想通貨は、安全な取引所に口座を持つことも重要です。
必ず金融庁に「仮想通貨交換業者」または「みなし仮想通貨交換業者」として登録された取引所を使いましょう。
5. 損切のラインを決める
上昇トレンドと言われる値上がり傾向にある仮想通貨投資ですが、価格が下がっていくこともあります。
何らかの理由で長期保有することが難しい場合、いくらまで下がったらそれ以上の損失を出さないために売るか、「損切り」ラインを決めておきましょう。
6. 周りの判断に流されない
SNSやネット上の情報に頼りがちな仮想通貨投資判断ですが、根拠のない口コミやスキャンダルニュースなどに惑わされたり、周りにつられて売り買いしないように気をつけましょう。日ごろから関連のニュースに目を通し、重要な情報を見極める目を養うことが大切です。
7. 自己管理をしっかりする
仮想通貨投資で最も大切な事に自己管理があります。周りに流されずに意思決定できる意志の強さも大切です。
そして仮想通貨を所有する上で大きなリスクの1つがハッキングなどによる盗難です。大切な投資資産を守るために、パスワードや購入した仮想通貨の管理などを徹底しましょう。
まとめ
仮想通貨投資は、比較的新しい投資の種類です。他の金融商品とは異なるメリットもデメリットもありますが、投資の本質は変わりません。
余剰資金で自己判断で行うという事を忘れずに、メリットを最大限に生かした投資を行いましょう。