仮想通貨のニュースなどを読んでいると、トークンという言葉をよく目にします。
仮想通貨の普及と共に、株に代わる資金集めの手段としてのトークンの発行が増えてきています。
仮想通貨の世界において、トークンとは具体的に何のことを指すのでしょうか。
実は仮想通貨とトークンにはっきりした違いはありません。
トークンの機能や特徴と仮想通貨との違い、そしてその将来性などを交えて、トークンの全体像を見ていきます。
目次
トークンとは
日常生活でトークンというと、多くの場合はお金の代用品として特定のサービスに利用できるものなどを指します。例えば、ゲームセンターで使うコインなどがトークンです。
仮想通貨の世界でのトークンは、仮想通貨と同じようにインターネット上だけでの存在ですが、基本的には何かと交換価値があります。
交換できるものはポイント、サービス、ゲームアイテムや投票権などさまざまです。それはトークンを発行する人が自由に決めることができます。
トークンの種類
トークンには大きく分けて、採掘で得るタイプのカレンシートークンと、ICOなどで発行されるタイプのアセットトークンの2種類があります。
ICOとは
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)というのは、開発などプロジェクトの資金を集めるためのプロセスです。
これまで多くのスタートアップ企業は、会社の株式を発行して一般投資家に売り出すことで資金集めをしていました。これをIPO(イニシャル・パブリック・オファリング)と言います。
ICOは、IPOよりも早く安く簡単に資金を集められる手段として人気が出てきており、それに伴って多種多様のトークンが発売されているのです。
ICOなどで発行されるアセットトークンは、株式トークンやユーティリティトークンなどにさらに区別することができます。
株式トークンはその交換価値に配当や投票権が含まれていて、株券に近い機能を持っています。その一方で株式トークンには株と違って厳しい法規制がほとんどなく(2017年12月時点)、株に代わる簡単にできる資金集め手段として人気を集めているのです。
ユーティリティトークンは、その交換価値に将来のその商品やサービスの利用料が含まれていて、主にクーポン的な役割を果たすのが一般的です。
買う側の立場から見ると、どのタイプのトークンでも発行元のプロジェクトや商品の将来性に早い段階から期待して投資するという事、そしてトークンの価値は変動するので利益を狙って短期売買もできる金融商品という事です。
トークンの入手方法
トークンはどのように入手するでしょうか。
カレンシートークンはマイニングと呼ばれる採掘作業に参加して、その報酬としてもらいます。マイニングは仮想通貨の取引が正しいかどうかを確認する台帳突合せ作業です。
アセットトークンの多くは、発行元に直接申し込んだり取引所で購入したりします。
ICOではまずトークンプレセールというのが行われます。これは発行元に申し込んでトークンを入手する方法です。
その後、取引所でそのトークンが売買できるようになるかどうかは、発行者がそれを希望し、取引所がそれを受け付けた場合です。
その場合、そのトークンの投資価値はさらに期待され、上昇するケースが多くなっています。
仮想通貨とトークンの違い
実は仮想通貨とトークンにはっきりした違いはありません。
例えば、ビットコインは仮想通貨として一般的には認識されていますが、採掘で得るタイプのカレンシートークンとも考えられます。投資的な視野から見ても厳密な違いはありません。
便宜上よく使われる区別の仕方は、独自のブロックチェーンを持っているのが仮想通貨、既存のブロックチェーン上で発行したものがトークンという分け方です。この方法で言うと、ビットコインやイーサリアムは仮想通貨と考えられます。
トークン発行に利用されるのはイーサリアムのブロックチェーンが多く、2017年12月時点で取引されているトークンの90%以上が、イーサリアムベースのトークンとなっています。
例えば、取引高の多いEOSやOmiseGoなどです。
安全性やセキュリティ
トークン購入の安全性
一般的に開発プロジェクトや何かの商品に対する将来性への投資というのは、早い段階で始めるほどリスクが高くなります。
特にアセットトークンに言えることは、例えば、ICOプレセールでトークンを購入する場合、プロジェクトの完成や成功に見当を付けづらい状態で、世間よりも一歩も二歩も先に先行投資をするということになります。
ですからトークン購入は投資というより投機にあたり、安全性はあまり高いとは言えません。
早い段階で安く購入できるので成功した暁には大きな利益が期待できますが、その分リスクも大きいという事を覚えておきましょう。
セキュリティ
トークンのセキュリティは発行元によるところが大きくなります。
イーサリアムベースのトークンでは、システム障害などの問題が起こった際にはトークンを一時的に凍結するテクノロジーがあり、対応がされるまでトークンの不正流出を防ぐことができるようになっています。
将来性
トークン全体の将来性を今後最も左右するのは、ICO関連の法規制の行方です。
前述したように、資金をアセットトークンの発行によるICOで集める手段が一般化しているなか、ICOに対する明確な法規制がないことによって、詐欺ICOの横行などさまざまな問題が出てきています。それを防ぐために法規制が整うまでICOを禁止する国もあります。
2017年10月に出ていた経済ニュースでは、世界中でICOで発行されたトークンのうち、実際に活用されているのは10%程度だと言われていました。
日本は現在法整備の準備段階という事ですが、今後どうなるかによってトークン一般の将来性は大きく変わってくるでしょう。
不正を監視するための規制がないと、投資家やまっとうなICOを行っている企業にまで悪影響が及ぶことが心配されます。一方で規制が厳しくなりすぎると企業の資金集めが難しくなり、テクノロジーの発展や企業の育成を妨げる可能性もあります。
日本だけでなく世界各国がどう規制方針を定めていくかを、気を付けて見ていきたいところです。
初心者も注目したいおすすめトークンと購入できる取引所
日本国内の認可取引所でもさまざまなトークンを扱っています。2017年12月時点で、日本で話題になっているの主なトークンは次の3つです。
コムサ(COMSA)
金融庁認可の取引所を運営する母体企業であるテックビューロ社が発行しているという点で、安心して投資できるトークンです。
コムサのMijinプロジェクトは、中小規模ベンチャーのためのICO支援プラットフォームを構築するというものです。ビットコイン、イーサリアムとネムのパブリックブロックチェーン技術と、自社開発のMijinというプライベートブロックチェーンを組み合わせたプラットフォームとなる予定です。
海外にはすでにICOコンサルティングの会社がいくつかありますが、日本では新たな試みとなります。テックビューローの国内ネームバリューを利用してICOをすることで相乗効果による一層の資金収集効果も狙っていくようです。
日本はアメリカや欧米に比べて、中小ベンチャーの資金集めや宣伝の難しく、スタートアップが難しい社会環境だと言われています。
Mijinプロジェクトはそれらを容易に可能にすることによって、日本経済をより活性化する一端を担うことができると注目されています。
コムサ(COMSA)が購入できる取引所
で取引可能です。
キャッシュ(QASH)
金融庁認可の取引所であるリキッドバイコインが発行しているトークンです。
キャッシュのプロジェクトは、仮想通貨取引の流動性を高めるためのプラットフォームの構築です。
これは世界各国に個別に点在する仮想通貨取引所をつなぎ、全体としてのマーケットの流動性を作り出すブリッジプラットフォームを提供するという事です。
これに加えて、今後増えることが予想される機関投資家などによる大口注文にも耐えられるように、取引プラットフォームを強化することも予定されています。
大口の投資家だけでなく個人投資家にとっても大きなメリットがあるプロジェクトです。
キャッシュ(QASH)が購入できる取引所
で取引可能です。
ノーシス(GNOSIS)
グノーシスと表記するサイトも多いですが、正しくはノーシスと読みます。
ノーシスは予測市場を提供する、イーサリアムベースのプラットフォームです。予測市場は今後の成長が非常に注目されている分野で、スマートコントラクト技術を使って大小関わらずさまざまなビジネスに応用することが可能です。
例えば、小売店が今後の仕入れに顧客の意見を取り入れるために使用したり、企業が経営方針にクライアントの声を反映するために利用することが、フェイスブックなどソーシャルネットワークを通じて簡単にできるようにするプロジェクトです。
予測市場には必ず「予測収集」、「予測集計と分析」と「予測結果発表」のサイクルがあり、ノーシスはそのサイクルを効率よく行うことが可能です。
2018年末の実用化を目指したロードマップもしっかりしていて、テクノロジーのユニークさも併せて将来が期待できるプロジェクトです。
ノーシス(GNOSIS)が購入できる取引所
ノーシスは日本国内の取引所では扱いがなく、海外の取引所などに口座を作って、ビットコインなど他の仮想通貨を送金して購入します。
ザイフ(Zaif)
ザイフ取引所を運営するテックビューロ社が発行したトークンで、COMSAの購入に利用することができます。
その他の交換価値はまだ特になく、今後COMAの価格変動に追従して値動きすると見られています。
今後の利用度はまだ未知数なため、お勧め要素はそれほどありません。
ザイフ(Zaif)が購入できる取引所
で取引可能です。
トークンを入手するうえで気を付けたいこと
ICOに参加してトークンを入手する際は、必ずホワイトペーパーを読みましょう。
ホワイトペーパーにはプロジェクトの概要や集めた資金の利用法、トークン購入者への特典や開発ロードマップなどが記されています。
ICOの規模はそのトークンの安全の判断基準にはなりません。自分で納得したICOに自己責任で参加する心構えが必要です。